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「野菜×発酵」 蔵元は挑戦し、進化する
Posted on 2023年10月18日
by MADE IN NIIGATA
「発酵を楽しむ、これからの食を考える」をテーマに、新潟県の発酵にかかわるプロがあつまり展開する、ライフスタイル型プロジェクト、SALON85(サロン85)。
今回は、新潟県の厳選野菜をモチーフに、野菜を発酵させることでスープのベースにもなる新しい食品「発酵生コンソメ”トマト”(仮称) 」を開発した、明治24年創業の歴史をもつ蔵元、山田屋(山田醸造株式会社)の六代目 山田弥一郎さんより新商品開発のきっかけや、蔵元として目指す未来への姿をお聞きしました。
– ところで開発された、発酵生コンソメ“トマト”とはどんな商品ですか?–
「発酵生コンソメ“トマト”」という名前はまだ仮なのですが、トマトをベースにした、野菜本来の味が感じられる“コンソメのようなスープの素”です。
山田屋は、「発酵に挑戦し、学び、進化し続けます。」をモットーに、明治24年から発酵食品を製造しています。この商品は、その発酵技術を活かして、新たな食材に挑戦しました。
-興味がすごくあります、どんな味わいなんですか?-
通常の味噌の原材料は大豆と米と食塩ですが、この商品は野菜を素材とし、化学調味料や保存料は一切使用せず、野菜の素材本来の味を、発酵を通じて引き出しました。その結果、優しい野菜の風味にすっきりとした味わいの美味しい野菜スープの素が完成しました。
商品名はまだ確定していないものの、お客様に新しい味わいを提供できることを楽しみにしています。

–初めて聞く、全く新しい商品です、どんなきっかけで開発がはじまったんですか?-
商品開発のきっかけは、特別な菌でつくった米糀でした。この米糀を活かして、新しい発酵食品を創りたいという思いから、試行錯誤が始まりました。
最初は、醤油麹や塩麹のような試作品を作成し、ドレッシングにも挑戦しましたが、なかなか満足のいく結果になりませんでした。そこで、「美味しいものを作ろう」という原点に立ち返り、再度試行錯誤を重ねました。
その過程で、私たちは様々な食材や調味料を試していると、味噌やディップソースのように使い切れずに冷蔵庫に残っていることに気付きました。この「もったいない」気持ちは、お客様にも共感されることだろうと思い、使い切りのスープの素を開発する方向に舵を切りました。
特に、毎日の忙しい仕事に追われながらも健康を大切にする女性の方々に、「野菜×発酵」の力で元気になってもらいたいという思いが強く、それを手軽に自宅で楽しんでいただける商品を目指しました。

普段取り組んでいる味噌づくりとは全く違うように思えますが、難しい挑戦ではなかったですか?
商品開発に際して、いくつかの課題に直面しました。
まず、開発を担当した職人が以前は調理師としての経験がありました。その経験を活かして、それぞれの野菜がどのような味わいになるかは、予想が立てやすかったです。しかし、味噌では使わない野菜を具体的にどう使って、どのような組み合わせでにするのか。また、何を足したり引いたりして最適な味わいを追求するのかが、一番苦労したポイントでした。また、野菜本来の味を感じられるように、最適な塩分量を探し出すことも必要でした。
さらに、野菜の品種や生産者によって味や色合い、香りが異なることに気付きました。同じトマトでも生産者や季節、品種による違いがあり、無限の組み合わせを考えるのが難しかったです。そのため、生産者の方に訪問し、コミュニケーションを取ることがとても重要で、この過程が私にとって楽しい日々でした。
-蔵元の目から地域の野菜を見るというのは、すごく新鮮ですね-
はい、そうですね!
また、B級品やC級品といった品質が低いと見なされる野菜を積極的に使い、発酵の力で美味しい製品に仕上げたいと考えました。ただし、これらの野菜は通常よりも洗ったり皮をむいたりする作業に時間がかかります。しかし、これらの野菜を使用することで、生産者の方が一生懸命育てた野菜を無駄にしないよう頑張っています。

-山田屋(山田醸造株式会社)のことを教えてください-
山田屋は、明治24年(1891年)創業の蔵元です。この年は、初代 弥惣治の醤油業が軌道に乗った記念すべき年でした。 元々、織物事業に取り組んだもののうまくいかず、町外れだった葛塚(旧豊栄)に蔵を構えて再チャレンジしたのがスタートでした。
3代目 久一は、新潟県内の仲間である同業者同士の競争を嫌い、関東圏への販路拡大を目指しました。大きな詐欺にあい倒産の危機に直面しましたが、盗まれた味噌が関東大手問屋の口に入り「この味噌は美味しい」と、関東圏での販路拡大への足掛かりになりました。
現在、6代目弥一郎は、創業から受け継いだ技術と想いを大切にしつつ、新たな発酵食品の開発に挑戦しています。山田屋は味噌や醤油の発酵調味料の技術を活かし、現代に合った新しい商品を模索しています。地元のお客様だけでなく、ネット通販を通じて県外や海外にも発酵技術を提供し、若い世代に魅力的な産業を提供することに取り組んでいます。山田屋は歴史と伝統を尊重しながらも、常に進化と挑戦を続ける企業です。

-ちょうど今(2023年10月現在)、LA発のピッツァ専門店「800 DEGREES」とのメニューコラボレーションをされていますが、味噌業界としてはすごく新しい食のジャンルですよね-
(関連記事:新潟発酵食の新しい楽しみ方や新潟食材の魅力を発信「800゜DEGREES×新潟」を開催)
今回のコラボメニューは大変に興味深いものです。
以前は、私たちの業界では「味噌は和食のもの」という固定観念が根強く残っています。しかし、イタリア料理やフレンチなど、全く異なる文化のレストランでトマトスープの素を紹介した際に、シェフから「美味しい!使ってみよう」との反応をいただいたことはとても印象的で嬉しかったと同時に驚きもありました。発酵の技術を駆使することで、和食に限らず、他の文化にも使っていただける可能性を実感しました。
また、デンマークのNomaという世界的に有名なレストランが日本でInuaという新しいレストランをオープンした際に、発酵に関する協力をさせていただいたことがありました。彼らの熱意と試行錯誤を見て、品質が良くても同じ製品をただ作り続けるだけでは限界があると感じました。この経験が、新たな発酵食品の挑戦を促進するきっかけとなりました。
今後も発酵技術を活かした様々なチャレンジで、新たなお客様にも届く発酵食品作りを頑張っていきたいです!
-とても楽しみです、ありがとうございました!-

会社名:山田醸造株式会社
住所:新潟県新潟市北区葛塚3119
代表:六代目 山田弥一郎
TEL:025-387-2005
FAX:025-387-2135
HP:https://www.e-misoya.com/
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