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今年も醸造試験場で試験醸造が行われました

Posted on 2022年4月22日

by MADE IN NIIGATA


全国で唯一の、都道府県立の日本酒専門の試験場「新潟県醸造試験場」で、今年も試験醸造が行われました。


酒母を仕込んでいるところ 
※酒母…米麹で糖化された蒸米をアルコールに変えていく働きを持つ酵母を大量培養したもの


醸造試験場は酒蔵と同じように、酒造りを行うために必要な「清酒製造免許」を持っており、人材育成や新潟の気候に合う酒造技術、新規に開発した酵母や酒米などを、県内清酒業界で実際に活用できるようにすることを目的に、例年2月から3月にかけて試験醸造を実施しています。試験醸造は、醸造試験場が創られた昭和5年から毎年行われています。

使用する酵母や酒米、造る日本酒のタイプは業界のニーズに応じて毎年異なります。

近年は香りの高い酒質を求める酒蔵が多いため、今年の酵母は華やかな吟醸香が出るよう醸造試験場で開発中のものを使っています。酒米は新潟県で開発された精米歩合40%の越淡麗を用いて、香りの立つ純米大吟醸を醸造しました。

※精米歩合…雑味をなくすために削った酒米の、残った割合を示すもの。40%だと、60%分は削っているという意味です。

※純米大吟醸…精米歩合50%以下の米・米麹、水のみを使用して、「吟醸造り」という伝統的な製法で造ったお酒のこと。

蒸しあがった酒米を冷ましていきます。シャッターを開けて、冷たい外気を入れ込むと室内が湯気に包まれました



県内で栽培された越淡麗のみを大胆に60%も削って造られた今回の日本酒は、普通に造ったらとても高価なもの。

造られたお酒の量は約480リットルなので、1升瓶(約1.8リットル)でおおよそ267本程度となります。

奥にある圧搾機で搾られたお酒が、手前のタンクに注がれていきます



昨年度造られた日本酒は、醸造試験場設立91周年記念式典で出席者へ記念品として配られました。

今年の試験醸造で造られたお酒の出来について、金桶場長に聞いてみました。

金桶 光起 場長



ーー金桶

水を加えない原酒の状態で、アルコール度数は14.3度なので初心者向きのお酒といえます。

華やかな香り、ふくらみのある米の甘さを感じる味わいとなりました。ただ、開発中の酵母についてはまだ改良の余地があるので、今後も研究を続けていきます。




今年はどのような味だったか、利き酒してみたいですね。

試験醸造したお酒の製造技術は県内の酒蔵への技術指導に利用され、今後の各酒蔵での酒造りに活かされます。

このように新潟県醸造試験場では、新潟清酒業界の発展に寄与するため、日々研究や開発に励んでいます。



【引用元:新潟県 ぽんしゅびより