日本酒文化をあらわす酒器とは、日本酒を楽しむとは何か。
銅の熱伝導を利用した、新潟県燕市産酒器「まどろむ酒器」の開発者である、山後春信さん(株式会社新越ワークス)と、長野美鳳さん(FOOD FARM & DESIGN nagano)の対談が行なわれました。
対談動画と合わせてお届けします。
燕の酒器、新潟清酒のこれから
長野
燕の酒器と、新潟の日本酒がこれからどんな風に広がっていくといいと思いますか?
山後
僕らが考えているのは、酒は酒だけとか、酒器は酒器だけじゃつまんない。
長野
はい。
山後
日本中の酒蔵さんが、海外にお酒を売ろうとしても、なかなか上手くいかない。
長野
うんうん。
山後
それにくっついている僕らの酒器も、当然その後ではあんまり売れない。
長野
はい。
山後
今、たくさんの仲間たちと色んなことを考えていて、これからは日本酒の文化、日本の酒文化を売っていきたいよねという話をしている。
日本の清酒文化を海外へ
長野
モノではなくて、文化として売っていくっていうことですよね。
山後
そう。例えばこの酒器も、日本にたくさんの酒器があるじゃない。陶器だったり、金属だったり、磁器だったり。これ(たくさんの種類の酒器)は日本にしかない。
長野
日本酒の酒器が?
山後
そう。たくさんの種類の酒器があるっていうのは、日本にしかなくて。これは何でだろうって考えると、日本のお酒の文化って、お酌の文化なの。
長野
あー、そうですね。注いでいるイメージがありますね。
山後
お酌をするっていう所作は、日本にしかない。例えばアメリカに行ったら、ビールは小瓶で(そのまま)自分で飲むでしょ。ヨーロッパに行ってワインを頼むと、ソムリエさんが注いで、ワインの入ったグラスを渡されるじゃない。逆に日本人がヨーロッパに行って、ワインをお酌するとすごく叱られたりする。
長野
そうなんですか(笑)
山後
なので、日本酒と酒器を繋ぐ、“お酌”という所作が日本酒文化なので、これをしっかりと研究をして、パッケージ(化)にして色んな国に伝えていきたいねという話をしている。
長野
なるほど、たしかにお酌っていうと、ただお酌をする所作もあるし、コミュニケーションというイメージもかなりありますもんね。
山後
そう。これ(まどろむ酒器)も、お酌をされて初めて(驚きが)わかるじゃない。お酌をされている方に、驚きがあるでしょ。
長野
あ、ほんとですね。
山後
お酌をされている方に、驚きがあるでしょ。
長野
はい!それっておもてなしの心とも言えますよね。
山後
そうとも言えるかもしれない。そういうところが面白いんだろうと思って。だから、日本酒と酒器をいっしょにして、日本酒文化っていうのを作り上げたいなという風に思っています。
長野
なるほど、わかりました。ありがとうございます。